- 1)先端的なデジタル技術の駆使と産学連携による地域課題解決への取組み
先端的な製造方法や設備の導入による高品質かつ安定した酒質を実現し、東京農工大学との連携強化により、地域の酒造り、モノづくり、伝統文化・技能などの紹介や地域の魅力(食や気候、環境、観光など)を都市型の酒蔵として発信します。
- 2)ものづくり技術での取組み
伝統的な日本酒造りの技術を大切にしながらも、デジタル化・機械化による高度な品質管理技術や醸造・発酵研究の成果を、地域の“ものづくり”に広く公開・提供していきます。
- 3)地域のSDGs推進と地域活性化の取組み
地産地消推進によるフードマイレージの低減、CO2排出量削減への取り組み、地域の水源・圃場維持など、地域の環境保全を配慮した取り組みを積極的に進めていきます。
将来的には地域を巻き込んだ酒蔵文化をツーリズムへと発展させ、地域社会・産業・文化の発展・活性化に取り組みます。
- 4)農業・産業振興・雇用創出への取組み
地域農業の米作りによる活性化に加え、地元食材・地元資源を活用した“テロワール化”による商品開発や流通開発により、地域経済に貢献し、併せて雇用機会の創出を図っていきます。
- ※テロワールとは
一般的にはワインで使われる「土壌・気候・人などその土地ならではのもの」を意味する。
- 日本酒テロワール
- 酒蔵環境の改善や醸造技術・設備の進化により都市型での酒造りとしての不安要素が大幅に減少し、同時に地域の商業活性化や観光振興に向けた酒造り復活への強い要望が高まるなかで、2022年に国立東京農工大学大学院農学研究院と「産学連携の活性化及び研究成果の事業化を目的とする基本協定」の締結をしました。
これは、大学が開発した新品種米を旧武蔵国(東京、埼玉、神奈川の一部)の篤農家様に生産していただき日本酒醸造に活用するという教育研究プログラムです。
-
「武蔵国(東京、埼玉、神奈川の一部)テロワール」に
-
こだわった酒造り
- 原料米
- 原料米は武蔵國産米を使用することを目指すとともに、米作りにおける研究・開発を協同する国立東京農工大学開発の新品種である「さくら福姫」による日本酒造り。
- さくら福姫は他の稲に比べ、
- 1)光合成速度の速さ(=CO2吸収と酵素の排出速度が早い)
- 2)根がよく発達することで炭素(C)固定能力が高く、CO2を隔離
- 3)耐倒伏性に優れるため近年の気象変動にも対応(台風など)
- 4)バイオマス生産量(藁の収量)が高く、バイオエネルギーとしての高い利用価値を併せ持つ品種であるといわれています。
- 大学・農家・酒蔵の連携の輪で、この米品種での酒造りをすることで、減少していく都市部の田圃や農家を維持・保護することにも繋がるとも考えます。
- 酵母
- 東京農業大学の協力により府中の花である「梅」から酵母の分離培養を進めており、これを新製品の一部として使用することで、全く新しい味わいの府中の地酒開発にも取り組んでいます。
- 水
- 新たに自社井戸を掘削し、地元の水を仕込み水として使用します。
- 化学肥料削減 脱炭素栽培に適した新品種米
「さくら福姫」の活用
東京農工大学との「武蔵日本酒テロワール」推進事業協定により酒米として使用する「さくら福姫」は「低窒素肥料条件での収量及びバイオマス生産量がコシヒカリより高い性質をもち、食味においてもコシヒカリに劣らない」という特性もあり、さらには「有機質肥料区のさくら福姫は化学肥料区と同等の生育および収量が得られた」という比較検定実験の結果が得られています。
- 府中市の木は「けやき」、鳥は「ひばり」そして花は「梅」です。
毎年、武蔵総社大國魂神社の社務所前に咲く梅の花と、府中郷土の森梅園に咲く「梅の花」を採取しています。
この「梅の花」から分離・培養した良質な梅の花酵母を使用した酒造りが成功するまで挑戦し続けます。
- 酒造りに使われる酵母は蔵内の古い梁などに住みついた蔵付の酵母や酒のもろみから分離されてきました。
また近年、これらの酵母を変化させて醸造能力を高めた酵母も多く利用されています。
東京農業大学醸造科では無限の可能性を秘めた自然界に着目し、個性豊かで特徴のある酵母を分離することを試み自然界に咲く花々から様々な香味を醸し出す優良酵母「花酵母」の分離に成功しています。
(例:ナデシコ、ツルバラ、ヒマワリ、コスモスetc.)
現在、府中市の「梅の花」からの酵母分離培養に向けた共同研究も行なっています。